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ある日、物欲の赴くまま古着屋へ。膨大な数の古着を物色する中、とある大物と出くわした。そいつのなんとも太々しいこと。メルトンをこれでもかと言う程に肉厚にした恐ろしいほどヘビーなピーコートがそこには鎮座していたのです。そのオーラと仕立ての良さはあまりに眩しく、私は取り憑かれたようにレジへと足を運ぶのでした・・・
西ドイツからの刺客。
私を虜にしたピーコートというのがコチラ。
西ドイツ軍支給の1962年製のピーコートです。
使用感はほとんどなく、デッドストックと言っても申し分のない逸品です。
その生地は恐ろしいほど肉厚で、重量何と2キロ超え!
何とも巨漢ボディなコートなんです。
それにメルトン生地がかなりしっかりしているので
使用感のない状態で袖を通すと腕の関節が曲がらない・・・笑
いったい当時の海軍の軍人達はどのようにして着用していたのか。
大袈裟でなく、痛みを伴うほどの肉厚具合なのです。
しかしそれほど肉厚だからか、風は全く通さず、
これなら冬の海風を浴びても持ち堪えられたのではと感じます。
使い込んで柔らかくなるまでには何年もかかってしまいそうですが
諦めないようにガシガシ着用したいところです・・・。笑
裏地は保温性のある温かなモヘア生地を採用。
モヘアに極厚のメルトン、
なかなかの贅沢品だったのではないでしょうか。
ボタンは真鍮でできた金ボタンは立体感ある作りで碇のマークも美しい。
ボタンホールもきれいで頑丈です。
襟のフォルムは肉厚メルトンにもかかわらずしなやかな曲線美。
さらにその中にはそれとは逆の直線的なステッチ。
大変丁寧な仕事をされていることが伝わります。
ポケットの湾曲したつくりもユニーク。
手が入れやすく、見た目も品があります。
このような細かな点はドイツ人のクラフトマンシップが伺えるポイントかと思います。
内ポケットにタグには製造年と製造元とみられる
「WERNER MAHLBERG」の文字が。
どうやら、1900年頃から1970年頃まで軍支給のウエアを製造していた
メーカーのようです。
そんな、肉厚ヘビー級でありながらもデザイン面では気が利いている
コチラのピーコート、どのように着こなすのが良いか・・・2案考えてみました。
着こなしについて考える。
シャツ:人吉シャツ
ネクタイ:Francesco Marino(フランチェスコ マリーノ)
ボトム:Levis (リーバイス)
まずはタイドアップしたきれいな印象の着こなし。
全身ネイビー・ブルー系のアイテムに加え、
靴はイタリア海軍のスニーカーを合わせて、
マリンルックなドレススタイルになるよう意識して組み合わせてみました。
靴:CROCKETT&JONES(クロケットアンドジョーンズ)
コチラはタートルネックと合わせた着こなし。
厚手のニットやウールのトラウザーは厳しい寒さを乗り切るマストアイテム。
ドレスアイテムを多く取り入れつつも
リラックス感のある着こなしに仕上げてみました。
最後に。
昨今はオーバーサイズにロングコートやダウンジャケットに注目が集まりがちで
あまりピーコートにスポットライトが当たってはいませんが、
そんな今だからこそ袖を通してみるというのもまた一興だと感じます。
数年かけて着込んでいき、
この極厚メルトン生地がどのように変化を遂げていくのか
これからの成長が楽しみです。
今回はこの辺で。
また次回お逢いいたしましょう。